メタルジグ考察「郷には入らば郷に従え」  [パパ大津留]



ソルトワールド誌の先月号でジグカラーの考察記事があり、私も数行だがジグに対する考えを述べている。
ルアーカラーが、釣りにはどのように影響するか?。これはかなり難しいテーマだ。それは、魚種にもよればフィールドによっても違う。水深や水温によっても違ってくるだろう。傾向などを推察する事は出来るが、それをひとくくりで断言する事などは到底できない。
「オイラ、〇〇ルアーで釣ったよ、あのカラーじゃなきゃ食わないよ~」とか、「あのジグは泳ぎが悪いから食わないんだよ」とか、「日中の日差しの強い時に、そのルアーじゃ食う訳ない」なんて決めつけるアングラーも多いが、それは、固定観念からくる、釣り自慢的な偏った意見だろうか。
その中で、「郷に入らば郷に従え」と云うのはあり得る話だ。それは、そのフィールドに限って、ある種のルアーが効果的だったり、また偏ったカラーだけにヒットする傾向が見られるのも確かだ。


昨年のJ1グランプリ、その個人の部で優勝した“柳さん”は、対馬、そして新潟や青森等の国内だけではなく、パラオ等の海外遠征もこなすベテランアングラーだ。年齢的に決して若くないが(余計なお世話と言われそうだが)、その釣行日数の多さも半端ではない。
その柳さんは八丈島で使うメタルジグは殆どがスイムライダーである。私がこのメタルジグで、結果を残している事もあってか、島に来る多くのアングラーもスムライダーを持参してくる。しかし、八丈島は水温によって水深が違う。この事を理解しないと、同じスイムライダーでも結果が出るとは限らない。これが「郷に入らば郷に従い」なのだ。
島のジギングで、ヒラマサ、カンパチの適水温は19℃台と言われるが、それは表水温の話である。実際には、その水深もその年によって微妙な差がある。一昨年の春季だが表水温が19℃台で、冷水塊が島を覆っていた時は、水深3060メートル台の浅場で大型の青物が活性した。しかし、今年もこの冬季に19℃台ではあるが、底潮が暖かい為に、水深120160メートルに入っている。
潮流の速い島で150メートルを超えると300グラムでも厳しくなるが、近海の浅場で慣れているアングラーは、その事を理解しないために、同じスイムライダーを持ち込んでも120200グラム程度なのだ。
その辺りを柳さんは良く理解していて、大会の優勝魚もそうだが、その後に釣った22キロのヒラマサも300350グラムのスイムライダーを使っていた。ただ、350グラムが全てと云う訳ではなく、その辺りを柔軟な思考で、あくまでもそれを中心に組み立てて行くのだ。
とくに、水深150メートルあたりでは誰も潜ってメタルジグのカラーを見てはいないし、まして色盲に近いと言われる魚から見た色の識別など、想像の域を出ない。だからこそ、ノーマルな考え方でシンプルな思考が大事と考えている。柳さんも、その辺りを忠実に実行している。


先日も柳さん達5人と同行した。ポイントは島の東側にある石積ヶ鼻沖の150170メートル。釣行メンバー全員がメタルジグはスウィムライダーを装着している。しかし、其々に選び出す重さやカラーは違う。
そして、この時期は北風が強く海況が悪い。更に、サバの猛攻もあって次々と苦戦を強いられる中で、柳さんがスウィムライダー350グラム・アルミシルバーで、23キロの大型カンパチを引きだした。
そのヒットからのやり取りは、あまりにもユッタリと、それも短時間で釣り上げた為に、周りがそれほどの大型と思わなかったほどである。そして、終了間際にも、350グラムのシルバーホロで6キロのカンパチをヒットさせ「おっと、おまけだ~」の一言である。
それは、他のアングラーが、同じスイムライダーだが230グラムやショートの175グラム等のアピールのあるメタルジグ使い、23キロの浮ついたカンパチに喜んでいた中である。
軽いジグはアピールがあり、操作もし易くヒット回数も多い。だが、数は釣れても、逆にフォールでサバに悩まされる事も多い。彼はその事を嫌い、小型魚のヒットし難い重いジグで勝負した事が、逆に好結果を産んだのだ。

スイムライダーやスイムバードは、どのフィールドでも良く釣れるジグである。一昨年の浅場で活性した時はスイムバードの120グラム。そして、上記したソルトワールドの先月号誌面の宮城県塩釜沖、ワラサのフラップジャークではショート178グラムが圧倒的だった。そして、今回は350グラムである。
それは、良く釣れるジグであっても固定観念にはとらわれず、そのフィールドの時期や傾向に合ったジグを選び出す、それが肝心と云う事になる。



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