メタルジグに慣れた魚の攻略法  [パパ大津留]

 


私の住む八丈島にはカンパチやヒラマサは多い。
しかし、そんな島であっても周年を通して、そんな魚が活性する訳ではない。
特に黒潮本流が近くを流れる島で、その蛇行の仕方で海水温が変わり、
それによって魚の着く場所や水深が変わる。
我々は、一般的に小型のカンパチやヒラマサはリリースをする。
それは、ルアーフィッシングのターゲットになる魚を減らさない為には大事なことだ。
特に産卵能力を持たない小型魚をリリースする事は、そのフィールドの環境維持には重要な意味を持つ。
そして、このリリースは、そのフィールドの魚を減らさない事に繋がるが、
更にゲーム性を高める事にもなる。
例えば、リリースされた小型魚の入った群れは極端にナーバスになり、メタルジグに対して敏感になるのだ。
一尾が警戒感を持つことで、群れ全体がメタルジグに敏感になる。
そんな中で、その群れの大型魚を活性に導く為には、ルアーの泳がせ方、
ジギングでのジャークテクニックが大事になる。
メタルジグを警戒する群れであっても、そのルアーの泳がせ方次第では、
急にスイッチが入る事もあるのだ。
最近、私が多用するテクニックでフラップジャークと言うのがある。
それは腕を前に出し、ロッドを大きく、ユッタリと振るスタイルだ。
それは、そのテクニックを一辺倒でやるのではなく、細かいハイピッチのショートジャーク
と組み合わせたり、早いハイスピードジャークとのコンビネーションで用いる事が多く、
それらの組み合わせで、ヒットの確率が上がる。



先日も、セミナー用のジギング映像を撮る事になった。
この時期の八丈島は高水温であることから、狙いのカンパチは水深150メートル
200メートルの深場である。当然、使うメタルジグは300350gと大型で重い。
ただ、ディープゾーンであっても、黒潮本流が近く、透明度が20メートル以上と
高い状態であるから、それは活性の低い状態が続く。
そんな渋い中で、結果を出す為には、早朝から長時間ロッドを振り続け、
活性する時間とタイミングを計り、少ないチャンスを生かさなければならない。

まず、潮の流れと言うのは、大概は一定方向に流れる。
その中で、黒潮の蛇行の仕方や、潮の満ち引きによって、その流れが変わる。
それが潮変わりだ。そして、この状況で大事なのは、一旦は潮の流れが止まり、
その次に動き始める、その動き出しを捉える事だ。
その時間帯が、魚の活性を導き出す時間であり、それを『時合い』という。
この日も、延々とメタルジグを振り続けるが、中々ヒットに繋がらない。
しかし、昼頃になって潮が止り、そこから徐々に潮が動き出す。『時合い』である。
そこで、メタルジグをアピールさせる為に、着低からハイスピードで10メートルほど巻き上げた。
そこから更にハイピッチのジャークをリールで20回転ほど、その後でユッタリとしたフラップジャークに切り替える。
それは、派手に動くメタルジグに興味を示し、追いかけてきたところで、
今度はユッタリと泳がせて、ルアーを泳ぐ魚に見せて食い付くチャンスを与える。そんなイメージなのだ。
更に、透明度の高い状態では、あまりにもメタルジグがリアルに見え過ぎて、魚が警戒してしまう。
そんな時は、派手に早巻きしてから、ショートピッチのジャークで、
その早いスパイラルな泳ぎだけで食わせるテクニックもある。
早いリアクションでバイトさせる狙いだが、今回のカンパチは、何れもその2つのパターンで食って来た。

大事なのは、メタルジグの動きを通して、活性する潮の流れを読み取ること。
それと、その時の活性の仕方で、ジャークパターンを組み替え、スレさせない事だ。
その為には、そのジャークパターンの中で如何にメタルジグを泳がせるか、それがテクニックである。



圧倒的に、鉛素材の多いメタルジグだが、ネーチャーボーイズのメタルジグは環境負荷の少ない鉄がマテリアルである。そして、この鉄ジグは比重が軽い分、良く泳ぐジグだ。
今回は300350gと重いものを使用したが、それが苦にならないぐらい良く泳ぐ。
今回、超大型とは言えないが、メタルジグに慣れて、活性の上がらない夏のジギングでも、
610キロサイズのカンパチを7尾ほど釣り上げた。
それは鉄のジグ、スイムライダーの泳ぎから生まれたテクニックと考えている。
この、スレた青物に対するテクニックは、その地域に合った柔軟さは要るが、
なにも八丈島にだけ特化したテクニックではない。
それぞれの水深にイメージを重ね合わせ、試してみる事で結果が出せると思っている。


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